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健康診断は会社の義務!労働安全衛生法の内容と企業の義務についてわかりやすく解説。
定期健康診断の実施は、労働安全衛生法によって企業に課された義務のひとつです。本記事では、検査項目や、費用、対象となる従業員など、定期健康診断にまつわるさまざまなポイントを解説。あわせて、従業員の健康維持をサポートする具体的な5つの施策例についてもご紹介します。
労働安全衛生法とは?
労働安全衛生法とは、労働者が安全で健康的に働けるよう、事業者に対し労働者の安全配慮義務を定めた法律のことです。
- 労働安全衛生法の目的
- 労働安全衛生法の3つの柱
- 労働安全衛生法と労働安全規則の違い
労働者を守るために作られた「労働安全衛生法」とはどのような法律なのか、詳しく見ていきましょう。
労働安全衛生法の目的
労働安全衛生法が制定されたのは、1972年の高度経済成長期。日本が急速な経済成長を遂げた一方、それを支える数多くの労働者の「労働災害」や「長時間労働」が深刻化し、社会問題となっていた時代でした。こうした背景から、労働者の安全・健康を守るため「労働災害の防止」を目的として制定されたのが「労働安全衛生法」です。
労働安全衛生法の3つの柱
労働安全衛生法には、「3管理」と呼ばれる3つの柱があります。
①作業環境管理
作業環境管理とは作業環境における有害因子の状態を把握し、できるかぎり良好な環境へ改善・管理していくことです。有機溶剤や粉じんなどの危険有害物を取り扱う作業場があれば、その物質の有害性や取扱量、作業場所への発散状況を調査し、必要な措置を講じる必要があります。また、オフィスであれば、空調や照明、人口密度やオフィス家具などが作業をするにあたって適切であるかどうかを調査・管理することが挙げられます。
②作業管理
作業管理とは、従業員の健康・安全を確保した状態で作業方法を決めていくことを意味しています。作業環境管理が「作業を行う環境」を管理対象としているのに対し、作業管理は「作業内容」を管理対象としています。具体的には、作業にまつわる時間、量、方法、姿勢の最適化や、保護具などの着用によって作業者への負荷を少なくすることなどが挙げられます。
③健康管理
健康管理とは、従業員の健康障害を未然に防ぐため、従業員の健康状態を把握・管理することを指します。具体的には、定期健康診断や保健指導の実施です。また、有機溶剤や粉じん発生リスクがあるなど、作業環境が健康被害を及ぼす可能性がある場合には特殊健康診断の受診を促す必要があるでしょう。
労働安全衛生法と労働安全規則の違い
「労働安全衛生法」と「労働安全規則」は、定める期間と法的拘束力の強さが異なります。
| 労働安全衛生法 | 労働安全規則 |
制定期間 | 国会 | 行政省庁(大臣) |
法的拘束力 | 強い | 弱い |
「労働安全衛生法」は国会が定めた法律で「絶対に遵守しなければならない義務」として、強い拘束力を持っています。一方「労働安全規則」は、厚生労働省によって定められた「安全衛生についての基準および行動指針」を示したものです。
労働安全衛生法によって定められた義務を果たすためには、労働安全規則にのっとった具体的な規則を守っていく必要があります。法的拘束力の強弱にかかわらず、いずれも遵守しなければならないルールであることを理解しましょう。
「法定健康診断」は会社の義務
「法定健康診断」とは、労働安全衛生法第66条に基づき、企業が実施を義務付けられている定期健康診断のことです。
- 法定健診の検査項目
- 法定健診の対象となる従業員
- 法定健診の費用
- 義務に違反した場合の罰則
- 社員が健康診断を拒否した場合
ここからは、企業が実施義務を負う「法定健康診断」について、具体的な5つのポイントを見ていきましょう。
法定健診の検査項目
法定健診の検査項目は安全衛生規則第44条に記されており、全部で11項目にわたります。
①既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③ 身長(※)、体重、腹囲(※)、視力及び聴力の検査
④ 胸部エックス線検査(※) 及び喀痰検査(※)
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※)
⑦ 肝機能検査(GOT、GPT、y-GPT)(※)
⑧ 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)(※)
⑨ 血糖検査(※)
⑩ 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪ 心電図検査(※)
なお、※印記載の項目は、安全衛生規則第44条における健康診断の項目の省略基準として定められています。医師が必要でないと認めるときは省略できる検査項目です。※
法定健診の対象となる従業員
法定健診は、「常時使用する労働者」全員が対象となっています。そのため正社員だけでなく、次の条件を満たすアルバイトやパート社員の方も健診受診の対象となります。
①無期契約もしくは契約期間が1年以上の有期契約であること
②正社員の週所定労働時間の4分の3以上働いていること
①と②のどちらも満たす場合は「常時使用する労働者」となります。また、上記の②に該当しない場合であっても、上記の①に該当し、1週間の労働時間数が正社員の週所定労働時間の2分の1以上働いているパート・アルバイト社員にも一般健康診断を実施するのが望ましいとされています。
なお、労働者派遣事業法に基づく派遣社員についての一般健康診断は、労働者の派遣元の事業場で実施し、有害業務従事労働者についての健康診断は派遣先の事業場で実施することとされています。※
法定健診の費用
法定健診の費用は地域や医療施設によっても異なりますが、従業員1人当たりおおよそ7,000円〜10,000円程度※で設定されています。なお、法定検査項目11項目の検査費用はすべて会社が負担するため、従業員の費用負担はありません。法定検査項目のほかに追加したオプション検査や、再検査については、会社が費用を負担する必要はなく、原則従業員負担となります。しかし、経済的な負担から、従業員が再検査や精密検査を行わないことは、“従業員の健康を守る”という法定健診の本来の目的から逸れてしまいます。再検査やオプション検査の費用補助や就業時間内の受診を認めるなど、従業員がためらいなく受診できる制度づくりも検討してみましょう。
義務に違反した場合の罰則
労働安全衛生法第66条1項のなかで、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」と定められています。企業が健康診断の実施を怠った場合、労働安全衛生法第120条により、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、健康診断の結果の記録(労働安全衛生法第66条3項)および健康診断の結果の通知(労働安全衛生法第66条6項)を行わなかった場合にも、同様の罰則が科されるため注意しましょう。
社員が健康診断を拒否した場合
労働安全衛生法第66条5項で、「労働者に対する健康診断受診の義務」について定められています。仮に健康診断を受診できなかったとしても、労働者側に法的な罰則はありません。しかし、健康診断を受けない従業員に、受診推奨をせず、本人に健康被害が生じた場合、安全配慮義務違反(労働契約法第5条)に抵触する恐れがあります。
そのため、会社側は従業員に対し、受診義務の周知徹底や、健康診断の有用性をしっかりと伝えなければなりません。また、従業員がためらいなく健康診断を受診できるよう、医療施設や受診日の選択肢を増やすなど、受診しやすい環境を整えることも重要になるでしょう。
健康診断だけじゃない!社員の健康維持をサポートする施策例
従業員の健康維持をサポートする方法は、健康診断だけではありません。近年、次のような「健康」をテーマとした独自の福利厚生サービスやセミナーを実施する企業が増加しています。
- スポーツジムの利用補助
- 健康に関するセミナーの実施
- 食事補助の導入
- ストレスチェックの実施
- スポーツイベントの開催
社員の健康維持をサポートするための具体的な5つの施策例を見ていきましょう。
スポーツジムの利用補助
コロナ禍を経て健康意識の高まりが見られる昨今、福利厚生サービスの一環として「スポーツジムの利用補助」を導入する企業が増えています。定期的な運動は心身のリフレッシュや睡眠の質の向上など、健康に良い影響が大きく、従業員の健康維持に寄与します。従業員が心身ともに健康であることは、業務効率や生産性の向上につながります。つまり、定期的な運動機会の創出は、従業員と企業双方にメリットがあるのです。
フィットネスクラブ「TIPNESS(ティップネス)」では、ジムの法人契約メニューを取り扱っており、人数や回数などそれぞれの企業に合わせた自由な利用方法でプランニングできます。しかも、駅チカなどを中心にアクセスしやすい立地に店舗が多く、従業員の方々のライフスタイルに合わせたジム利用が叶います。「TIPNESS」法人契約メニューの詳細はこちら をご覧ください。
健康に関するセミナーの実施
従業員の健康サポートの方法として、プロの外部講師による健康づくりに関するセミナーの開催もおすすめです。「TIPNESS」では、従業員の健康リテラシー向上を目指す施策を効率よく取り入れたい企業様におすすめのプログラムも取り扱っています。たとえば、長時間の研修時間を確保するのは難しい企業様には、1日10分間だけの受講も可能なオンデマンドプログラム「10分間健康セミナー」をご提供。また「メンタルコンディショニング」や「集中力アップ術」など、働く人々が興味を持って参加しやすいさまざまな健康プログラムも多数取り揃えています。オンライン実施プログラムもあるため、リモートワークの場合や、支店や営業所など複数のオフィスに社員が点在している場合でも導入しやすいのが特徴。それぞれの企業に合わせた健康プログラムへのカスタマイズも可能なため、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「TIPNESS」健康プログラムの詳細はこちら をご覧ください。
食事補助の導入
食事補助とは、企業が従業員の食事代を一部負担する制度のことで、従業員からの人気が高い福利厚生サービスのひとつです。食事補助の導入方法には、社員食堂の設置、食事券やチケットサービスの配布、自由に出し入れできる冷蔵庫や自動販売機を設置する置き型社食の設置などがあります。社内コミュニケーションの活性化につながるのはもちろんのこと、従業員満足度の向上や健康経営実践にもつながるでしょう。
ストレスチェックの実施
厚生労働省は平成27年12月より、社員50人以上が従事する事業場に対しストレスチェックテストの実施を義務付けました。ストレスチェックは、年々増加するメンタルヘルス不調や長時間労働や職場のストレスによる疾病の発生を未然に防ぐための予防的な制度です。ストレスチェックを実施することにより、従業員自身が抱えるストレスへの気づきを促し、精神的な不調を未然に防ぐことを目的としています。なお、社員50人未満の事業場は義務付けられてはいないものの、努力義務としてストレスチェックテストの実施が求められています。
スポーツイベントの開催
従業員の健康サポートと社内コミュニケーションの活性化を目的とし、スポーツイベントを開催する企業も増えています。社内でのスポーツイベント実施によって、リフレッシュ効果や運動不足の解消が期待できるほか、社員同士の交流機会の増進も期待できるでしょう。具体的には、社員全員が参加できる運動会の実施や、部門ごとに行うボーリング大会の実施などがあげられます。楽しく、華やかなイベントである反面、コストがかかることや、けがや事故のリスクもあります。従業員の参加意欲の有無や、企業の社風や従業員の属性に合わせた無理のない内容になっているかなど、綿密な計画が必要なイベントともいえるでしょう。
従業員の健康維持に貢献!健康診断のほかにも、プラスアルファの健康サポートを取り入れよう。
本記事では、企業に課せられた重要な義務である「法定健康診断」について解説しました。従業員の心身が健康であることは、生産性やモチベーションの向上など企業にとってもさまざまなメリットがあります。本記事でご紹介した健康維持サポートの施策例である「ジムの利用補助」や「健康セミナーの開催」を導入し、従業員のさらなる健康維持・増進を目指してみてはいかがでしょうか。
「社員の健康維持をサポートしたい」「最寄りのフィットネスクラブでリフレッシュしてほしい」とお考えの企業様に、社員のみなさまのライフスタイルに合わせた利用が可能な「TIPNESS」法人会員のサービスがおすすめ!ジムエリア、スタジオ、プールなどを利用できる会員権を法人契約にてお安くご提供いたします。
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